唯唯漂うただの海藻

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「CARNIVAL」感想-罪を負ってしまった人は幸福になれないのだろうか-

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プレイ時間は10時間かからないくらい。

鬱ゲーだと聞いていたがそれほどでもなかった。

自らの背負った罪とどう向き合っていくか、といったようなものがテーマだと感じた。

 

 

彼らが背負った罪

カーニバル罪

物語は主人公の学が護送されているパトカーから逃亡するシーンから始まる。

学は人を殺している。いじめっ子の先輩を一人。さらには過去に母親も殺している。

学は幼馴染の女の子、理紗の家に転がり込む。

理紗もまた罪を感じている人物の一人。自分の気持ちを出さず周囲に合わせた嘘ばかりついていて、父親からもされるがまま肉体関係を持たされている。そういった嘘だらけの関係に罪悪感を感じている。

幸福とは

カーニバル幸福とは

幸福とは目の前にあるけど決して届かないものである。

しかしこれには前提条件がある。その人が心に罪を抱えている場合である。

罪を抱えていれば、幸福に向かっているつもりでも決して幸福にはなれないのだ。

世界は残酷だけど美しい

カーニバル世界の美しさ

世界は私達に対して残酷だ。けれどもそんな世界が私は好きだ。

理紗は決して届かないとしても自分の意志で幸福を追い求めることに決めた。

刹那的に生きる

CARNIVAL刹那的に生きる

そんな理紗と対照的なのがサブヒロインの泉だ。

カーニバル泉前半

カーニバル泉後半

彼女は理紗と違い生きるエネルギーに満ち溢れており、前へ向かおうとする強い意志がある。

彼女のルートは、罪なんて知ったことか!人は自由だ!そんなことより今を楽しもうぜ!といった感じだった。

こうやって罪を忘れて今を楽しむのも一つの選択肢ではあるかもしれない。

カーニバル泉エンド

ただ、根本的なことは何も解決していないし、その場のノリで生きているのでお互い他のことがしたくなったりして、この二人は破局するだろうなと思う。

真エンドじゃないけど私はこのエンディングが好きなので画像多めに使いました。

カーニバルロックンロール

テーマについて思うこと

カーニバル幸福

私的には理紗エンドの幸福には絶対になれないとわかっていながらも罪を背負いながら幸福を追い求めて生きていくよりも、泉エンドのロックンロールな生き方のほうが好きだ。

彼らが犯した罪は情状酌量の余地が十分あると思うし、過去に縛られ今を楽しめないのはもったいないと思う。

とか書いてる私自身も過去に縛られまくってるんですけどね。そう簡単にはいかない。

理紗を選んだとしても、ドストエフスキーの「罪と罰」のように愛による復活を遂げ、出頭して罪を償えば幸福は手に入れられたかもしれない。

しかし彼らには信仰心もなかったし、刑罰如きで罪が消えるとも思っていなかった。

自分で自分の罪をなんとかしないと先に進めないのだ。

彼らからしたらあのエンドが一番幸福だった。作中で引用された宮沢賢治の「グスコーブドリの伝記」のブドリのように、私達から見れば不幸でも彼らからしたら幸福だったのかもしれない。

この作品を通じて、周囲からどれだけ罰を与えられ許されようとも、自分で自分を許すことができなければ先に進めないということに気付かされた。

罪と罰〈上〉 (新潮文庫)

罪と罰〈上〉 (新潮文庫)

 

その他言いたいこと、感想

カーニバルヒロイン

理紗(真ん中)と泉(右から2番目)以外のヒロインいらない。こいつらのせいで1章では感情移入できなかった。こいつらいなくても本筋なんの問題もないと思う。エロシーンのためだけにいる存在。ほぼレ○プシーンだけど3章読んだ後だと学あんなことせんやろって思う。1章の学はレ○プしまくりで全く感情移入できずこいつはよ捕まらんかなと思ってたわ。陵○ゲーとして発注されて誰かが途中まで作ってたのを瀬戸口氏が書き直したみたいなのをどっかで聞いたのでその名残でしょうけど。

カーニバル3章冒頭

なので1章は結構苦痛だったが3章は神。初っ端からめっちゃ文学的。最&高。

他にはボイスに関してだが、再生されるのがワンテンポ遅くてほぼ聞くことがなかった。聞いてたらプレイ時間2倍以上かかったと思う。あと学の声グリリバはちょっと合ってないと思う。

OP曲も神。

 

世界は残酷だけども美しいっていうのが瀬戸口廉也氏の作品の特徴らしい。

瀬戸口廉也氏の他の作品もプレイしたいですね。

 

あと続編の小説版高すぎ。アマゾンの99.800円ってなんやねん。

小説読むためだけに国会図書館行くまであるレベル。

↓購入いることに驚きだよ他にもっと安く買える所あるのでは。

CARNIVAL (二次元ドリームノベルズ)

CARNIVAL (二次元ドリームノベルズ)

 

【2021/9/18追記】

国立国会図書館で読んできたので小説版の感想も書きました。

hijikichi.hatenablog.com