唯唯漂うただの海藻

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「景の海のアペイリア」感想-俺たちは自動的だ。だけど...-

景の海のアペイリアトップ

―― 可能性が可能性に干渉し、別の可能性を作る ――

 

プレイ時間20時間ほど。

シュタインズ・ゲートみたいなSFものです。

ネタバレ聞くと面白さ半減すると思うのでネタバレ度40%くらいで書きます。

シンカーや観測者の正体など物語の核心的な部分には触れません。

 

あらすじ

名前も顔も居場所も知らない。
実在するかさえわからない。
お前を必ず見つけ出す――

『このメールは未来から送信されている』

2045年冬。
双葉学園萌えるAI研究会に所属する桐島零一は、偶然にも自我のある人工知能アペイリアの開発に成功する。
触れてみたい、とパソコンの中の彼女が言う。
零一はAI研究会の部員たちと共にデジタルの彼女に触れる方法を模索する。
そしてアペイリアの機能を使い、完全没入型VRMMO【セカンド】を作った。
剣と魔法、科学の融合したその仮想世界は第二の現実で、彼らは馬鹿騒ぎをしながら冒険を始める。

だが【セカンド】は制御の利かない危険なゲームだった。
仮想世界に囚われたアペイリアを救う為、零一たちは命懸けでログインするのだが……

自我を持った人工知能と彼女を開発した零一。
そしてその仲間たちが贈る、恋と青春の科学冒険ファンタジー

――やがて彼は一つの仮説に辿り着く。
アペイリアを奪おうとしている何者かの存在に。

引用元:シルキーズプラスオフィシャルウェブサイト

可能性としての意識

景の海のアペイリア量子力学

景の海のアペイリアと切っても切り離せないのが、量子力学観測問題

特に難しく考えずに、「量子は見られていない時は波の性質を持つが、見られると粒の性質になる」ってことだけ覚えておけばいいです。量子は確率の波だけど、観測した瞬間に確率が収束して粒子になると考えられているみたいです。(コペンハーゲン解釈

これがどう景の海のアペイリアに関係してくるかと言うと、

零一によれば人の意識も量子であり、量子は可能性なので意識も可能性である。

つまり、人(可能性)と人(可能性)が干渉しあって新しい可能性が生まれ、観測者の意志によって未来が決定する。

そんなイメージでしょう。(意志という表現が正しいかわかりませんが他に言葉が思いつかないので意志にしました)

人と人が影響しあい、意志によって未来が決まる。

個別ルートはこの考えを素に進んでいっていると思います。

月に寄りそう乙女の作法でいうところの、「意志が希望を生んで、希望が夢を育てて、夢が世界を変えるんだ。」と同じです。

俺たちは自動的だ(人は量子である)

景の海のアペイリア自動的前半

景の海のアペイリア自動的後半

俺たちの意思も感情も意識も全ては偶然の産物でしかなく、自分の選択など存在しないのかもしれない。そう、人間もAIとさほど変わらないのかもしれない。それでも、気がついたところから選択できるはずだ。

これだと人は量子っていうのがイメージしやすいんじゃないでしょうか。

気がついたところから選択する、というのは量子力学でいう観測と同義でしょう。

好き勝手に生きる

景の海のアペイリア好き勝手に生きる

三羽ルート。

過去やら境遇やらに縛られて前に進めない三羽。そんな三羽に零一は人は自由だということと人は前に進んで変わっていくものだと気付かせる。自分が不幸になることよりも幸せになることをするべきだ。そして三羽は自分の意志で前に進む未来を選ぶ。

境遇など知ったものか!俺は好きなように生きていくぜ!家畜の安寧!虚偽の繁栄!死せる餓狼の自由を!

助け合って生きる

景の海のアペイリアましろ

ましろルート。

いつも逃げてばかりで自分に自信が持てないましろ。そんなましろに零一は言う。そういった特徴は生まれつきのものなので否定することではない。逃げるよりも戦うことのほうが嫌な人がいれば戦うことよりも逃げることが嫌な人もいる。世界はそうやってバランスが取られている。そしてましろは自分を肯定し、少し勇気を出すことに決めた。

ましろは零一のためなら勇気が出るし、零一はそんなましろを助けてあげたいと思う。

まさに可能性が可能性に干渉し、別の可能性を作るですね。

景の海のアペイリア久遠

絆があるからこの街の乾いた風も心潤す熱く

久遠ルート。

母親と喧嘩中に母親が亡くなってしまい、後悔している久遠。(ごくせんでそんな話あったな...)しかし久遠は自分が愛されていた確信が持てずに母親と向き合えずにいた。タイムリープしているうちに向きあうことができ、ただすれ違っていただけだと気付く。父親ともそんな感じで愛されていると気付く。

景の海のアペイリアスワンプマン

このルートで重要なのはスワンプマン。

同一の存在でも環境や関わる人々によって別の人間になるという話。

スワンプマンは生まれるべきじゃなかったとか零一言っとるけどそんなんミュウツーさんが聞いたらブチギレですよ。

ミュウツーの逆襲本物は本物

景の海のアペイリアアペイリア

アペイリアルート。

アペイリアはここまで色々な感情を学んできた。しかし恋はまだ知らない。恋をするということは成長したということで本当の意味で自我を持ったということになる。アペイリアは恋を知って自分の意志でオーナーのためにオーナーの命令に背いた。

感想

テーマについては特に言うことがない。意志が大事っていうのはこのブログで散々言ってるしね。量子と意識をつなげる発想はとても面白い。でも、このテーマについてはOPムービー初めて見たときからある程度予測していたものそのままで、もうちょっと突っ込んでなにかないかなあと思ってたけど特に何もなく残念だった。結構速読しちゃったので読み解けていないだけなのかもしれませんが。(ていうか全然熟読してないのでめちゃくちゃ書いてしまっていたらごめんなさい)

他にも、自我とは何か?という視点でも読むことができるけど、それについては他の感想ブログでいくつか書かれていたのを見かけたので今回は観測問題という視点から書かせていただきました。まあこうやって未来を決定しようとする意志(観測)が自我と言わざるを得ないけど。

速読しちゃった理由としては、ノれなかったってのがあります。下ネタが多くて、全体的にノリが10代な感じがします。ちょっと感情移入しづらかった。

特に序盤は主人公が節操がなくて嫌でした。バーチャルだからってヤりすぎ。百合カップルと3Pしたのは許されない。ガイアッッッッ。ただ竿を入れられながらも、主人公には目もくれず百合カップル同士見つめ合っていたのはとても評価高い。その後個別ルートに入ったら共通ルートは何だったんだってくらい主人公は紳士になりますけど。

説明パートが多すぎたのも感情移入しにくかった理由のひとつです。終盤のあれもそうだけど戦術の説明とかも頭に入ってこないのがいくつかありました。

感情移入はあんまりできませんでしたがSFとしては名作だったと思います。

物語が二転三転するので楽しめるかと。でもストーリーのオチも想定内だった...さすがに観測者の正体は予想してなかったけど

 

次はISLANDをやります。DLsiteで半額セールしていたので。グリザイアも半額セール中ですよ!良ければこの機会に是非プレイしてみてください。

あと3つで手持ちの弾が尽きてしまう。穢翼のユースティアとかサクラノ詩とか再プレイしたいしもうしばらくは大丈夫だと思いますが。だいぶ前におすすめされたナツユメナギサもやっておきたい(夏ゲーばっかやな...)。他にもなにかおすすめあったら教えて下さい。

あ、そろそろTwitterのほうちゃんとやろうと思ってます(やるとはいってない)。

といっても、つぶやくことアニメの実況かソシャゲ関連ポケモン関連くらいしかないんですけどね。

以下はおすすめSF小説です。

アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))

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新世界より(上) (講談社文庫)

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BEATLESS 上 (角川文庫)

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