今週はフロントウイングさんのISLANDというゲームの感想を書きます。
フロントウイングといえばグリザイアシリーズのところですね。
プレイ時間20時間ほど。
先週感想書いた景の海のアペイリアと同じくSFタイムリープものです。
ISLANDは考察モノですが、いつものようにテーマに重点を置いて見ていきます。
ネタバレ聞くと面白さ半減すると思うので今回もネタバレ度40%くらいで書きます。といっても察しのいい人は重大なネタバレに気付いてしまうかもしれないので一応注意。
あらすじ
本土から遠く離れた海に浮かぶ「浦島」
そこは楽園と見まごう豊かな自然と、複雑な過去と因習に囚われた人々が息づく島だった。本土から見放され、忘れられつつあるこの地で
半ば諦めを懐きながら生きる島の住人。そんな島に「タイムトラベラー」を自称するひとりの青年が流れ着く。
「せつな」という名前と「ある使命」以外の記憶を失ったその青年は、
凛音、夏蓮、紗羅という3人の少女たちと出会い、
やがて島の未来を変えるべく奔走をはじめる。排他的な因習と数々の謎を秘めた浦島をめぐる
青年と少女たちの物語がひも解かれる――。引用元:アニメISLAND公式サイト
御三家、風土病、田村ゆかり、というキーワードから「ひぐらしのなく頃に」を連想しましたが、全然別物です。
というかジャンル全然違いますしね。
シュタインズ・ゲート系統の話です。
生きることとは
繰り返される日常。回り続ける輪廻。
その中で、一人の人間として何も為さず、何にも影響を与えず、ただ朽ちていくだけの人生。
それはあまりに怖ろしい結末だ。
想像しただけで背筋が凍って吐き気を覚える。
引用元:ISLAND夏編「もう一度、好きになってあげて」
主人公の切那は記憶を失っていたところを凛音という少女に拾われる。
しかし誰かを救わなくてはならないという使命だけは覚えていた。
このまま使命を忘れて平和に暮らすことを考えるが、何も成し遂げることができない人生を思うと嫌悪感を感じてしまう。
亡くなった父が遺した、膨大な蔵書。
それらを消費しながら、凛音は生きているということか。
……学校にも行かず、閉じこもったままで。
しかし、本を通して得られる経験は本物ではない。
本は過去の記録にすぎず、そこに『今』は存在しない。
書架の隙間を悠々と歩きながら過去を振り返る凛音は、生き生きとして見えた。
だけど――それは、生きていると言えるのだろうか。
この埃の降り積もった書庫と同じように、凛音の時間も止まり続けているのではないだろうか。
引用元:ISLAND夏編「わたしは――今できることをやるだけ」
切那はお調子者な性格だけど、意味のない人生に嫌悪感を感じていて、自分が何者かも思い出せず何をすればいいかわからないことに焦りを感じている。ていうかこの本のくだりは私にめっちゃ効くからやめて。
この物語は、切那が「本当の自分」と「自分の使命」を探す物語なのだ。
浦島太郎
ISLANDのストーリーのモチーフのひとつが、浦島太郎である。
玖音は、乙姫が浦島太郎に渡した玉手箱は浦島太郎の救済措置だったと言う。
玉手箱とはタイムマシンであり、玉手箱を開けることで浦島太郎は元いた時代へ戻って本来の時間で人並みの生活を送った。
しかしそれは乙姫との出会いをなかったことにすることでもあった。
ISLANDでいう浦島太郎はセツナ、乙姫はリンネのこと。
ISLANDでいう玉手箱の中身とは、乙姫(リンネ)のことを忘れること。つまり使命を忘れて生きることだ。
人生は他者と寄り添って歩んでいくもの
夏蓮ルート。玉手箱を開けたルートその1。
今を受け入れることで到達するルート。平凡な価値観で生きるルートだと思う。
自分の人生は自分で決められる。お互い信頼している二人なら、どんな未来も恐れず歩んでいけるだろう。
未来は希望で満ちている
紗羅ルート。玉手箱を開けたルートその2。
過去を受け入れ未来を信じるルート。
彼女の一族は人殺しを続けてきた。しかし、誰かを傷つけることは誰かを救うことにもなり得るし、誰かを救うことは誰かを傷つけることにもなり得る。先人が悩み抜いた末の決断であるのなら、彼らを肯定するべきなのだ。
先人たちは決して、俺たちの行く先を決めるレールじゃない。ただそこにいて、背中を見守っていてくれるのだ。だから俺たちは胸を張って未来に進んでいける。俺たちは未来を信じている。
人を規定するものは誰かとの絆である
凛音ルート。玉手箱を開けかけたルート。
現在過去未来関係なく人を規定する唯一のものは他人との繋がりである。
人生とはなりたい自分を見つけて少しずつ変わっていくこと。
仮面を被ることで初めて他者と相対することができる。
自由を求めて仮面を脱ぎ捨てたところで、そこに本当の自分はいない。
本当の自分とは、他者とのつながりの中にしか見出だせない。
切那「自由ってのは、いつもどんな時も望む仮面と被り続けられることだ」
切那「なりたい自分になろうとし続けることだ」
引用元:ISLAND凛音編「Interlude」
切那は凛音によって、凛音は切那によって自分を見つけることができた。
そういえばここのシーン迫真の演技だった。やっぱり田村ゆかりさんすごいわ。
他の誰でもない自分
冬編。解答編その1。
これは、夢だ。
目が覚めたら大慌てで身支度を調えて、朝食もそこそこに会社に向かわなくちゃいけない。
1分でも遅れたら上司に小言を言われるだろう。
(中略)
俺はただの歯車だ。
無限に存在する歯車の中の、たった一つだ。
決して止まることも歪むことも許されず、ただきっちりと回り続けることしかできない。
もしも不良の徴候を見せたら直ちにはじき出されて、そこには新しい歯車がはまるだけだ。
引用元:ISLAND冬編「生まれ変わって、待ってるから」
冒頭からこのような文章で現実に引き戻される。
人は無数に存在する社会を回すための歯車の中の一つでしかない。
冬編の世界は食料もろくに存在せず生きていくだけで精一杯な厳しい世界だ。
しかしそんな厳しい世界の中のキャラクターのうち何人かは自分はそこまで不幸ではないむしろ幸せだと言う。
なぜなら自分のことを信じて待っていてくれる人がいるし、自分にはやり遂げなければいけないことがあるから。志半ばで倒れたとしても誰かが必ずやり遂げてくれると信じている。
誰かに憧れているだけでは自分にはなれない。自分のやり遂げること(使命)を見つけること。それが他の誰でもない自分を見つけることなのだ。
人生には過程しかない
真夏編。解答編その2。玉手箱を開けなかったルート。
リンネだって最初から自分のやり遂げることを見つけていたわけではない。
むしろみんなそうなのだ。
ただがむしゃらに目の前のできることをやり続けていった結果、偶然自分のやり遂げることが見つかったにすぎない。
ISLANDのシナリオは、自分の使命が見つからずただ社会の歯車になっている人たちの肯定でもあったのだ。
万里愛「一日を何事もなく過ごせる――これ以上の幸せはありませんから」
万里亜の表情を見る限り、その言葉に嘘はないように感じられた。
それはつまり、大人になるとそんな何でもないことにしか幸せを見出だせないということなのだろうか?
(中略)
万里愛「いいじゃないですか、切那さん。いいじゃないですか、最低で」
万里愛「真っ当な大人なんて案外いないものですよ」
万里愛「みんな自分に自信を持てず、悩んで、苦しんで、周りの人間からの評価を求めて、縋って――」
万里愛「そうやって自分を肯定しながら、なんとか生きてるんです」
万里愛「そんな生き方も、いいじゃないですか。楽しいじゃないですか。幸せじゃないですか」
万里愛「確かに昔のように毎日が輝いてはいませんよ」
万里愛「ずいぶん世界は狭くなってしまいましたし、体も心もすっかり硬くなってしまいました」
万里愛「ですが、今になってようやく実感しているんです」
万里愛「私も――この世界の一部なのだと」
引用元:ISLAND真夏編「Interlude」
今は自分の為すべきことが見つからないかもしれない。
しかしそんな自分もこの広い世界の一部である。ただ一日を過ごしているだけでも少しずつ何かを為し遂げている。
使命や本当の自分といったようなものは見つけるものではなく、目の前のことにしっかりと向き合って生きていくことで結果的についてくるものだ。人生には過程しかない。
感想
テーマを一言で表すと、「生の肯定」でしょうか。
夢(使命)がなくなんとなく生きている人をも肯定しています。
夢がないねっていう煽りありますよね。昔それでバラバラ殺人になったり、最近も父さんには夢も職もないなって言われて息子殺してた事件あったような。
夢がないからなんやっちゅうねんって話ですよね。まあ私も夢がないわけではないんだけど…
俺には夢がない。でもな、夢を守ることはできる。📱\STANDING BY/ 変身! 📱\COMPLETE/
目の前のことにちゃんと向き合って普通に生きているだけでもすごいと思います。ひきこもりニートの私からしたらね。
ていうかISLANDのテーマについて書いてるサイトとか全くなくて参考サイト一つもなくてきつかったわ。まあテーマものじゃなくて考察ものだからね。仕方ないね。こんなまとめ方でいいのかあんまり自信ないぞ。答え合わせしたかった。先週の景の海のアペイリアもあんな感じのこと書いてるサイト見当たらなかったからちょっと自信ない。
そうそう、考察サイト見てて思ったんですけど、作者の他の作品読まないと設定が完全に理解できないのはちょっとどうかと思います。
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このひまわりという作品以外にも漫画とか色々読まないといけないらしい。
おかげで物語の始まりと終わりがわかりにくいので悪い評価を付ける人がいるのは理解できる。
アニメ記念版についてくるISLAND解体新書という設定資料集を読むといくつかの疑問が解けるみたいです。なのでプレイするならこっちをおすすめします。私みたいに安いからと言ってDL版や通常版PS4版PSVita版を買ってしまっても後でアニメ記念版欲しくなると思います。
ストーリーとしては疑問が少し残りましたがテーマとしてはしっかり完結していたので僕は面白かったです。
あと主人公は陽キャの癖に考えてること暗いから雰囲気が暗く感じてちょっと進めづらかった。
要所要所のギャグは面白い。
ここめっちゃ笑った。
あとはあのヒロインのエンドが後から考えればバッドエンド以外の何物でもないっていうのがね。
何を選んで何を捨てるかというのも一つのテーマだと思うので、あのエンドも選択肢の一つっちゃ一つかもしれませんけど。真実を知ったらヤバスギでしょ。どういう気持ちで結婚了承したんだよ。
それと展開ものとして見たら、景の海のアペイリアよりも予測できない展開の連続でした。アニメも見てなかったのであの展開は直前まで気付きませんでした。よく考えれば伏線いくつもあったのですごく良く出来てると思います。(謎の上から目線)
とりあえずそんな感じで。私もとりあえず目の前のことくらいは頑張ろうと思いました。
次回はきゃべつそふとさんのアメイジング・グレイスをプレイします。
...なんとSFタイムリープもの3連チャンです。
うーん...SFタイムリープものとSFタイムリープものでSFタイムリープものがダブってしまった。なるほど...この店はSFタイムリープものとSFタイムリープもので十分なんだな
わざとではない。百合ゲーはさみたいけどPS4のアメイジング・グレイス発売したの今週なのでこっち優先したい。
その前にイース9やりますけども。
で、残りは屋上の百合霊さんとカタハネの2本だけになってしまいました。Switchのyu-noも一応あるけどアニメがあんまりだったからモチベ湧かない...
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