唯唯漂うただの海藻

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「時計仕掛けのレイライン」感想-エッッッゲというよりミステリーライトノベル-

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時計仕掛けのレイライン」は「ユニゾンシフト:ブロッサム」というメーカーから発売された三部作のゲームです。

VitaとSwitchにも移植され、その時追加されたストーリーも合わせると四部作になるんですかね。

四部作と聞くと長く感じますが、一作10時間かかるかかからないかくらいの長さなのでそこまで身構えなくてもいいと思います。

R18版はDLSiteなどでしょっちゅう500円セールをしており、三部作を合計1500円でプレイできますが、VitaとSwitchの追加ストーリーである「陽炎に彷徨う魔女」がかなりよかったので個人的にはVita版かSwitch版をオススメします。といってもR18版のほうがメインヒロインである憂緒の魅力が感じやすいらしいのでそこは好みかもしれません。

時計仕掛けのレイライン -陽炎に彷徨う魔女- - Switch

時計仕掛けのレイライン -陽炎に彷徨う魔女- - Switch

  • 発売日: 2021/03/25
  • メディア: Video Game
 

 

 

あらすじ

主人公、久我満琉は天秤瑠璃学園の新入生。満琉が校舎の中庭に差しかかると、上級生の少女、鹿ケ谷憂緒から中庭の銅像に触れないよう忠告を受ける。しかし、誤って二階から転落した烏丸小太郎を受け止めるため、満琉は銅像を踏み台にして破壊してしまうのだった。その一件で学園長の九折坂二人に呼び出された満琉は、烏丸と共に学園に起こる事案を調査・解決する機関、特殊事案調査分室(以下、特査(トクサ)、特査分室)への配属を命じられる。

放課後、地下にある特査分室を目指す満琉達は、遺品(ミスト)と呼ばれる魔術道具に遭遇する。そこに現れた憂緒が札を貼り付けると、遺品は動きを止め、瞬く間に封印された。憂緒は自身が特査の人間であることや、遺品と呼ばれる不思議な魔術道具の存在について話し始める。その事が一般生徒には秘密にされ、遺品が起こした事件を解決することは特査の仕事であるとも付け加える。その直後、夜を告げる時計塔の鐘が鳴り響き、満琉達は学園の不可解な慣習を目の当たりにする。学園を侵食する黒い影。時計塔の鐘の音が鳴り響く黄昏時に夜の世界が動き出し、学園と一体化する。

引用元:Wikipedia

ネタバレを避けるためにWikipediaの途中までです。

というか、クリアするまでWikipediaは絶対に見ないほうがいいです。私はプレイ中にWikipediaを見てしまい、とあるキャラクターの重大なネタバレを見てしまいました。

ゲームの内容としては、タイトルにも書いたとおりミステリーライトノベルみたいな感じです。

主人公達の通う学園ではミストという魔術道具が時折り暴走し、そのミストが起こした事件を解決しながら学園の謎に迫っていく、といった話ですね。

ネタバレなし感想

このゲームは推理モノで終盤のどんでん返しが強みでして、ネタバレを見ると面白さの半分が失われると思うので先にネタバレ無しの感想を書きます。

良かったところ

緻密に練られたストーリー

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話のほとんど進んでいない序盤からいたるところに伏線が散りばめられており、話が進むにつれて回収されていくのがとても気持ちがいいです。

何気ない日常描写にも伏線があったりして、あああそこはそういうことだったのか!と何度も気付かされ、とても楽しかったです。

ただ謎が明かされていくのが二作目の中盤あたりからなので、一作目は少し退屈に感じる人もいるかも知れません。なので一作目が退屈だと思ってもとりあえず二作目までプレイしてみてください。

一昔前のライトノベルのような少し懐かしさの感じる雰囲気

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雰囲気はエッッッッゲというより、一昔前のライトノベルみたいだと感じました。

エッッッッゲみたいに枝分かれしているわけではなくほとんど一本道のストーリー、いとうのいぢっぽい絵柄(実際にいとうのいぢ氏も参加されています)、主人公はメインヒロイン一筋、OPやCGにも普通に出っ張ってくる主人公、偉い立場のキャラクターが何故かロリキャラ、物静かでミステリアスな文学少女、サブキャラ同士の恋愛描写、だいたいこのあたりが一昔前のライトノベルみたいだと感じた理由です。

一昔前の学園モノのライトノベルを読んでいた人は好きな雰囲気だと思います。

文学少女シリーズ」「涼宮ハルヒシリーズ」パッと思いつくものだとこのあたりが雰囲気が近いんじゃないでしょうか。

私は終始懐かしさを感じながらプレイしていました。

主人公も、最近のライトノベル主人公のようなひょろっとした感じではなく、体育会系で脳筋っぽいのもいい感じです。

推理が楽しい

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選択肢が普通のゲームより多くて面倒に思ってしまうかもしれませんが、できれば攻略は見ずにプレイしたほうが楽しめると思います。

間違った選択肢を選んでも結末が変わるわけではないし、それよりも正解の選択肢を考えるのが楽しいです。

しっかりとストーリーを読んでいればそんなに難しい選択肢はないですし、攻略見ずにプレイ推奨です。

ただ、後述しますがスキップ機能が微妙に無能ですので、間違えた選択肢を選んだと思ったらすぐに戻って選び直してもいいかもしれません。評価SSSで解放されるCGがありますので。

微妙だったところ

ミストの暴走のきっかけや解決が軽い

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ミストは、悩みを持った人物に引き寄せられ、その人物の魔力を吸って発動します。

そう聞いただけだとお悩み解決型の話になりそうですが、その悩みは「物をよくなくす」「家族と離れて寂しい」とか大した理由のものはなく、ミスト封印後も特に手助けせずとも勝手に自己解決するのがほとんどです。

殺人という悲劇に至らしめた心を探る事こそ事件に迫るって事じゃねぇのかな
そしてそれを推理させてくれる作品が俺は本当は一番好きなんだ
心ってやつを俺は蔑ろにしたくない 人は心で動いてるんだからな

右代宮戦人うみねこのなく頃に散 Episode7:Requiem of the golden witch」

私はちょっと物足りませんでした。全部が全部そうだったわけではありませんが、そういう意味では本筋の事件以外のほとんどの事件が虚無でした。

伏線とかはどの事件にも散りばめられていたのでその点はよかったのですが、共感などで感情が揺さぶられることが少なかったです。

序盤が退屈だと言われる理由のひとつはこれだと思います。

サブヒロインルートが退屈

主人公は基本的にメインヒロインの憂緒一筋です。なのでサブヒロインルートはおまけみたいなものでした。

そんなに長くもないですし読まなくても問題ないものばかりだったと思います。

一作目の鍔姫ルートと三作目クリア後のとあるキャラのルートは好き。

システム面

私は片耳イヤホンでプレイすることが多いのですが、ボイスが片方のイアホンからしか聞こえないことが多々ありました。キャラの立っている場所とかで変えていると思うのですが、そここだわらないで欲しかったです。仕方なくスピーカーでプレイしました。

あとはスキップ機能が微妙に使いづらいです。章をまたぐごとにいちいち止まるので、SSS評価やE評価のCGを回収するのがだるかったです。

総評

どんでん返しやミステリー、学園モノのライトノベル、このあたりが好きな人にはおすすめできる作品です。

評価はキャラ4.5/5テーマ0/0展開4.8/5で93/100で。

キャラクターは男女みんな可愛いし見せ場があります。物語の都合上どうしても無能になってしまうキャラが数人いましたが。VitaとSwitchの追加ストーリーである程度汚名返上されるのでその点でもVita版とSwitch版はおすすめですね。展開は基本的には伏線回収が気持ちよくて面白かったですが、若干のご都合主義を感じた箇所がいくつかあるので少し-で。

テーマを考慮しないので高めの点数になりましたがまあいいでしょう。実際面白かったですし。(謎の上から目線)

以下ネタバレ感想注意。

時計仕掛けのレイライン -陽炎に彷徨う魔女- - Switch

時計仕掛けのレイライン -陽炎に彷徨う魔女- - Switch

  • 発売日: 2021/03/25
  • メディア: Video Game
 

ネタバレあり感想

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一作目の結末で気になったのが、妹のためとはいえ年齢を偽って学園に通えるかってところでした。

主人公は20歳、他の主要メンバーは16歳と15歳(いや登場人物全員18歳以上だけど)で、だいたい5つくらい差があるわけですね。(いや登場人物全員18歳以上だけど)

私は3年遅れでセンター試験を受けたことがあるのですが、周囲が全員一回り年齢が年下っていうのはかなりいたたまれない気持ちになりました。

そして、20歳以上からすると高校生っていうのは本当に子供にしか見えないんです。(いや登場人物全員18歳以上だけど)

なので年齢を偽ってまで学園に通うっていうのはかなりの動機が必要なはずなんですよ。妹のためにそこまでするっていうのは過保護すぎるんですよね。

細かいことですが私はこれがずーーーっと気になってました。で、魂に妹を好きになれと刻まれていたからだとラスト付近で明かされます。

遅いな!でもちゃんと理由はあったんやねと感動を覚えました。

他にもこんな感じのちょっと気になることは後にしっかりと回収されます。まあネタバレあり感想とはいえあんまり書きすぎるのもあれなんで書きませんけど。

 

一作目の「黄昏時の境界線」が起承転結の起、二作目の「残影の夜が明ける時」が承転、三作目の「朝霧に散る花」が結、VitaとSwitch追加ストーリーの「陽炎に彷徨う魔女」が真EDって感じの構成でしたが、「陽炎に彷徨う魔女」は本当によかったです。

三作目の「朝霧に散る花」はずっとシリアスですし、事件解決後もあっさりと終わってしまうので、「陽炎に彷徨う魔女」がなかったらもうちょっとキャラクター達の活躍が見たかったな―と感じていたと思います。「陽炎に彷徨う魔女」で扱う最後の事件は平行世界の主人公との対決という、ラストに相応しい事件でした。

平行世界の主人公は、妹の代わりに魔力を暴走させ、沢山の人を死なせてしまい一人になってしまった主人公です。「時計仕掛けのレイライン」では、平行世界の主人公と同じく魔力を暴走させて人を殺めてしまったキャラクターが多数いるんですよね。

さて、人が間違いを起こすのはなぜでしょう。簡単ですね。支えてくれる人がいないからです。

hijikichi.hatenablog.com

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すべてはわたしのせいですさんがすべてはわたしのせいですさんになったのは母が留守にしていたから。セディが生徒を犠牲にしようとしたのは長い間一人だったから。平行世界の主人公がやさぐれているのは妹が死んだから。

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辛いことがあっても、一人だと難しいかもしれないが、支えてくれる人がいれば耐えられる。

間違いを犯してしまっても、支えてくれる人がいれば立ち直ることができるかもしれない。

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まあテーマと言えるところとしてはこのあたりでしょうね。ミストを暴走させた人も寂しかったり自分というものをわかってもらいたかったりした人が多かったですし。ホムンクルスの魂がどうとかもそれに関係してきますしね。人は一人では生きていけないっと。(ひきこもり並みの感想)

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あとこのシーンエッッッッッッ。私はNTRが性癖ってわけではないですがめちゃくちゃ興奮しました。

そういえば私も憂緒が主人公を好きになった理由に疑問を感じました。エッッッッッッシーンがすっ飛ばされているので、強引に襲った結果なんか好きになられたって印象しか受けないんですよね。エッッッッッッ最中に憂緒が何を考えていたのかがよくわかりません。

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ここノラとと。