10年ほど積んでいたゲームですが、テイルズの最新作も発売されたということでプレイしました。
これでゼスティリアとアライズ以外のマザーシップタイトルはすべてクリアしたことになります。なんだか感慨深いですね。
あらすじ
病床に臥したラドラス王が、月夜の晩、何かに取り付かれたように自らのフォルスを開放し、死亡する。 世界中に光が降り注ぎ、フォルスが覚醒する人が続出。そして覚醒は暴走を引き起こし各地で大被害が起こる。のちに人々はこれをラドラスの落日と呼んだ。 スールズという小さな村でも、ヴェイグという青年が覚醒。氷のフォルスの暴走が始まり、ヴェイグを心配して近づいたクレアが氷塊に閉じ込められてしまう。
一年後、クレアの氷塊の前でうなだれているヴェイグの前に、マオとユージーンというフォルス能力者が現れる。 マオは炎のフォルスで簡単に氷を溶かしてクレアを救出。マオとユージーンはクレアの家で接待されることに。そこでヴェイグはマオとユージーンから話を聞く。 ユージーンはフォルス能力者を集めた軍隊『王の盾』の隊長だったが、ラドラスの落日にまつわる陰謀に気づき追放された。 マオは記憶喪失の少年で、フォルス能力を買われ『王の盾』に入隊したが、そのやり方に不信感を抱き、ユージーンにくっついて王の盾を脱走。2人は、王の盾に知られていないフォルス能力者を探す旅に出たという。 そこでヴェイグの噂を聞き、この村まで来たのだ。ヴェイグは仲間になってほしいと誘われるが、クレアのそばにいたい、と断る。
そこにカレギア軍を引き連れた『王の盾』の四星、サレとトーマのコンビが登場。 「この村で一番美しい娘をよこせ」と村人をフォルスの力を使って脅迫。ヴェイグたちを蹴散らし、クレアを誘拐してしまう。 ヴェイグはクレアを取り戻すため、マオとユージーンは誘拐の真意を含めた国の動きを探るため、3人はチームを組み旅立つ事に。 生まれ故郷スールズを離れたヴェイグは、旅の道中で人々の対立に触れ、それまで意識することの無かった種族の違いについて考えさせられることになる。
引用元:Wikipedia
Wikipediaにも書いてありますがシナリオの主なテーマは異なる人種や民族間における共存と対立です。シンフォニアやベルセリアもそうだしアライズも異なる人種や民族間における共存と対立について描いてなかったか・・・?
シナリオのテーマは異なる人種や民族間における共存と対立で、作中には「ヒューマ」と「ガジュマ」という対照的な特徴を持つ架空の人種が登場し、その共存と対立の姿を描いている。そのため終始、重みのある暗いテイストのストーリーとなっている。タイトルの「rebirth(再誕)」は「人間関係や種族関係の再構築」という意味合いで付けられた。「民族問題」というシナリオのテーマ発案は、メインシナリオを担当した平松正樹が民族間での対立が残るユーゴスラビアを旅行した経験に基づく。
引用元:Wikipedia
ストーリー感想
パーティ内の雰囲気について
本筋の異なる人種や民族間における共存と対立の話は後半で、前半はヒロインのクレアを追いかけたり仲間を増やしたりしながら世界を回る話でした。
『テイルズオブイノセンス』や『レディアントマイソロジー』を先にプレイしていた私は、主人公のヴェイグにクレア狂というイメージを持っていました。しかしそんな事は全然なく、クレアを助けることに夢中で周りが見えていなかったのは本当に最初の最初だけで、周りをよく見て優先順位をつけて行動するしっかり者でした。
というか、今作のキャラは精神的に成熟しているキャラクターが多い気がします。まあ記事のタイトルに「今の自分を乗り越え生まれ変わるRPG」とつけたように各キャラそれぞれ抱えているものがありますが、本当にそこくらいで、そこ以外は基本的にみんな大人な印象を受けました。
そして無口なキャラクターが多いです。
ヴェイグはあんまりスキットに参加してこないし、他のメンバーもマオとティトレイ以外は終盤までずっと暗い雰囲気を漂わせています。
これは好みが分かれるかもしれませんが、キャラクターがみんなしっかり者なのでテイルズ特有のオタクっぽいノリの会話が全然ないんですよ。淡々と話が進んでいる印象でした。
私が10数年前に投げたのは主にこれが理由でした。スキットが楽しくないから進める気が起きなかったんですよね・・・。
種族間における共存と対立について
中盤、とある出来事がきっかけで人々の心の内にある差別意識が表面化し、世界中で種族間の争いが起こります。
争いを止めるため各地を奔走するヴェイグ達ですが、そういった差別意識はヴェイグ達も他人事ではありません。
ティトレイ
ティトレイが主人公というわけではありませんが、わかりやすく時系列順に書いていきます。
ティトレイは「ヒューマ」も「ガジュマ」も同じ「ヒト」だという考えを持っていますが、試練として差別意識が強かった場合の故郷の幻影を見せられます。幻影の中の故郷では「ヒューマ」と「ガジュマ」は徹底的に対立しており、姉のセレーナがガジュマに殺される自体にまで発展しますが、ティトレイはそれでもガジュマを憎むことなく、「ヒューマ」も「ガジュマ」も心を持った同じ「ヒト」だと言い張ります。
ティトレイは元がいい奴過ぎてあんまり今の自分を乗り越えて生まれ変わったって感じではないですね・・・。そういう嫌な体験をさせられても考えを変えない、より強固な意思を手に入れたって感じでしょうか。
あとティトレイのこのセリフが大好き。
マオ
マオは過去の記憶を持たず、自分が何者なのかわからずにいました。しかし試練でマオはヒューマでもガジュマですらなく、聖獣がヒトを観察するために作った存在だと知らされます。ヒトですらないと知らされたマオは更に自己存在に悩みますが、心はヴェイグ達と変わらないので自分はヒトだと吹っ切ることにしました。
ティトレイと解決方法同じやんけ・・・。
「見た目や生まれよりも心が一番大事」というのは中盤から最後までずーーっと言われることで、おそらくシナリオライターが一番伝えたかったことなのでしょう。
アニー
アニーは父親をユージーンに殺され、ガジュマ全てを憎んでいました。怪我をしたガジュマを助けるうちに「命に色はない」とガジュマ嫌いを克服したアニーですが、試練で父親殺害の真実を突きつけられます。自分がユージーンを誤解していた通り父親にも誤解があるに違いなく「目に見えるものだけが、真実ではない」とユージーンと一緒に真実を追い求めることにしました。
アニーでテーマになっているのは安易なレッテル貼りでしょうか。
アニーはユージーンに父親を殺されたことにより、ガジュマ全てが暴力的に違いないと決めつけていました。ですが、ガジュマもヒューマと同じく心を持ったヒトであり一人ひとり違いますし、ユージーンのことも誤解でした。ヒトはみな心があることを理解し、安易に物事を決めつけず真実を見極めることが大切だというわけでしょう。
ヒルダ
ヒルダはヒューマとガジュマのハーフであり、幼い頃からヒューマからもガジュマからも疎外され、ハーフであることにコンプレックスを持っていました。ですがパーティメンバーから一人のヒトとして受け入れられていること、母親と会い自分のルーツを知ったこと、それによって自分はハーフやヒューマやガジュマだとか関係なく一人のヒトだと認めることが出来るようになりました。聖獣はそうしてハーフとしての自分に誇りを持つ彼女にヒューマやガジュマとの架け橋になると希望を見出しました。
ヒルダでテーマになっているのは自分を受け入れることでしょうか。
みなと見た目が違っても心は同じ。だいたいマオのときとやってること同じなような。
ユージーン
ユージーンは一見常識人のように見えますが、心の奥底ではヒューマに対する差別を抱えていました。ですが、ユージーンはそのことを自覚しており、それでも心は同じなのだから仲良くするべきだとその気持ちを押し殺しています。試練ではそのことを再確認しただけであり、パーティメンバーのなかで唯一再誕(リバース)しなかった人物と言えます。ラストダンジョンではそれを利用してユージーンのフォルスをベースに仕掛けを説いていくことになるのが面白かったです。
ヴェイグ
クレアの姿が変わっても心は同じだとサクッと試練をクリアしていたヴェイグでしたが、それでも心の奥底では違和感を拭えず、フォルスが暴走してしまいます。ティトレイはそんなヴェイグに一人で抱え込むなよとぶん殴ります。殴り合いの喧嘩をしたのちヴェイグは観念し、思いの底を仲間たちに打ち明けました。
ヴェイグでテーマになっているのは悩みを周囲に打ち明けることの必要性でしょうか。ヴェイグの無口設定がここに来てやっと活きてきましたね。
ヴェイグは一人で抱え込むことによって自分を苦しめ、周囲も苦しむことになってしまいましたが、打ち明けて協力してもらい、故郷での争いを鎮めたことで「やっぱりヒトにとって大切なのは見た目ではなく心だ」と再確認しました。
ヴェイグは『ひぐらしのなく頃に』を履修したほうがいいですね(提案)。
まとめ
何度も言われている「見た目や生まれよりも心が一番大事」というのが『テイルズオブリバース』で一番伝えたかったことなのでしょう。これはクレアの演説シーンからも明らかです。
ですが私は日本に住む日本人ですので、そういった見た目での差別については馴染みがなく、そりゃそうよねとしか思わず、いつまで引っ張んねんこれと思っていました。
ですがアニーの問題である「安易なレッテル貼り」には覚えがあるのでこれについて少し考えたいと思います。
安易なレッテル貼りによる対立や差別・・・最近だとなんでしょうか。とりあえず思いついたものを書いていくと、「ファイ卒とモデ卒」「若者と老害」「ツイフェミ」「カービィ好き」「SwitchとPS4」「きのこたけのこ」「血液型」・・・。まあ少し考えればいくらでも思いつきますね。ネットで言われているようなこれらの対立や差別は9割方ネタで言っていると思いますが、たまにネタをネタで受け取ることが出来ない人がいます。
血液型占いは令和の時代の今もう信じている人はいないでしょうし今の人には馴染みはないと思いますが、10年ほど前までひどかったです。これは昔ニュースサイトで見た動画なのですが、声優が何人かでトークしていて血液型の話題になり、私A型だけどB型だけは自分勝手でマジで無理とか一人が言い出しました。ですが、え?私B型なんだけどと何人かが言います。ちょっと空気が悪くなったのでB型の人も他の人もなんとか盛り上げようとしますが、それでもB型は無理とか言い出した人はB型の人達と目を合わせようともしません。私は見ててこの人やべえと思いました。まあ台本だったりする可能性もなくはないですが。ちょっとその動画探してみたんですけどすぐには見つかりませんでした。分かる人がいたら教えて下さい。たぶん村川梨衣さんが出ています。
で、なんでこのような安易なレッテル貼りをしてしまうかと言うと、楽だからなんですよね。私にも覚えがあります。もう少し血液型の話であれですが、私は自分がAB型だとわかったとき、AB型のように変人に振る舞っていました。完全に黒歴史です本当にありがとうございました。まあ私はAB型ですが、真逆のO型の特徴もある程度当てはまります。というか全血液型の特徴にある程度当てはまります。あれ言い方をちょっと変えているだけでどの特徴もほとんど同じこと言ってるんですよね。ほんとアホくさい。まあ自分や相手を定義づけてしまうのって楽なんですよ。自分や相手がどういった人物なのか考えなくていいですしね。私も自己存在に悩んでいる時期でしたので、そういったレッテル貼りに手を出してしまいました。クレア達の言う通り、一人ひとりを心を持った人だと認めて向き合うことが大切なのでしょう。ピーチパイ作らなきゃ・・・。
話は変わりますが、ちょっと『テイルズオブリバース』のオチについて苦言を申し立てたいです。アガーテが死ぬ必要性がわからない。世界が混乱したのはアガーテの責任も大きいのに後処理せずに死んでどうすんねんと。せっかく改心したのになにもせずに死ぬとはどういうことなんですかねえ。ティトレイも言ってたじゃないですか、死んだら何もしなくていいなんてこんな楽なことはない、と。ヴェイグも後処理ミルハウストに押し付けて酷くないですか。目指す場所は同じだから一緒じゃなくても大丈夫だとか言ってましたがスタッフロールでも特に何もしてないやんけ!湖でぼーっとしてるくらいならミルハウスト手伝ってやれよと。ラスボス撃破後もこれからは自分達でなんとかするとか言って聖獣の助けを断っていましたが、たぶんあの世界の人々またすぐに争い起こしますよ。結局ヒューマとガジュマが手をとったのは共通の敵が出たからに過ぎませんしひとまずの脅威が去った今またくだらない争いを始めそうです。まあオチはちょっと雑に感じました。ラスボスのユリスも全然喋らないし・・・。
戦闘について
スリーラインバトルという独特なバトルシステムで面白いと思いますが、全然爽快感がないんですよね。敵に囲まれるとハメられてやばいので、仲間と挟み撃ちにして一体一体着実に倒していくのが基本になりますが、攻撃速度が遅くて全然コンボが繋がらない上に雑魚一体一体が固くて一回のバトルに時間がかかって面倒なので途中からはイージーモードにしてボス戦以外オートで戦闘中はスマホいじってました。ホーリーボトル使っても雑魚戦避けれないしフィールド移動速度は遅いしでプレイ時間28時間のうちほとんどが移動時間と雑魚との戦闘時間ですね。
某wikiでスルメゲーと評されている通り、完全にシステムを理解したら面白いんだと思います。
総評
ストーリーを通して言いたいことはわかります。ですが、中盤のクレアの演説シーンからも展開は違ってもずっと「見た目や生まれよりも心が一番大事」と同じことを言っているだけなのではいはいわかったわかったとしか感じません。キャラクターもまともでおとなしいキャラばかりなのであまり面白みがなく、テイルズをやっている感じが薄いです。戦闘は殆どのテイルズシリーズと違って爽快感のないものですが、戦略性が高いのでD2のようなバトルが好きな人には合うと思います。全体として地味な印象を受けました。ストーリーも地味だしキャラクターも地味です。ですが、良くも悪くもテイルズ特有の臭さがほとんどないのでこの作品が一番好きだと言う人が多いのもわかる気がします。私はテイルズをやっている感じがしなくて不満が残りましたけれども。
何度かテイルズの感想を書いているので気付いた方もいると思いますが、エロゲプレイヤーとテイルズシリーズの親和性はかなり高いです。テイルズシリーズはキャラクター一人ひとりの問題を解決していく作品が多く、エロゲのルート分岐と似ています。その点ではこの作品もしっかりそれを踏襲していました。餅月ひまり先輩もテイルズシリーズすこすこの民みたいですね。他にもエロゲとテイルズシリーズどっちもやってる人たくさん見かけます。なのでみなさんもやりましょう(威圧)。
次は『テイルズオブベルセリア』を再プレイしてから『テイルズオブアライズ』をプレイしたいと思います。
その前に『マブラヴシリーズ』をプレイします。『カオスヘッドノア』は処理落ちだらけでゲームとしてうんちっちでやる気なくしたのでしばらくはやりません。