唯唯漂うただの海藻

本やゲームなどの感想とか好きなことを書いていく。

「本好きの下剋上」感想-神に祈りを!神に感謝を!

数年前に書籍版を買って少しだけ読んで放置していたのですが、アニメ2期を見て面白かったので最後まで一気読みしてしまいました。

分厚目のラノベ30冊分くらいの量があるので1ヶ月かけて読みましたがとても面白かったです。

 

 

本好きの下剋上とは

 本が好きで、司書資格を取り、大学図書館への就職が決まっていたのに、大学卒業直後に死んでしまった麗乃。転生したのは、識字率が低くて本が少ない世界の兵士の娘。いくら読みたくても周りに本なんてあるはずない。本がないならどうする? 作ってしまえばいいじゃない。目指すは図書館司書! 本に囲まれて生きるため、本を作るところから始めよう。※最初の主人公の性格が最悪です。ある程度成長するまで、気分悪くなる恐れがあります。

引用元:小説家になろうより

ざっくり言うと、中世ヨーロッパ風の世界で本を作っていく話です。

なろうのトップ見て今気づいたんですが、序盤の主人公の性格が最悪ですなんて書いてあったんですね。

実際私も第一部で主人公マインが本を作りたいあまり、周りのことを気にせず自分勝手な行動ばかりしていたのが嫌になって読むのやめましたし、私と同じような理由で読むのやめる人多いらしいです。

でも、フェルディナンド様と出会った第二部以降はそういう自分勝手な行動はほぼなくなるので気になりませんでしたね。

第二部以降のマインは大体のことが人並み以上にできるし、従業員達?の事も大切にするし、周囲のことを理解しようとするしでできる女社長って感じでした。

第四部でフェルディナンド様の手が離れたときにちょっと暴走して、こいつ全然成長してへんやんけとなりましたが、第二部以降で気になったのはその一回くらいなので第一部のマインがひどかったことはすっかり忘れてました。

やっぱりマインにはフェルディナンド様がいないと駄目なんだなって・・・

 

第一部第二部...と書きましたが、作中でマインの立場が普通の平民のときが第一部、青色巫女のときが第二部...という感じで第五部まで続きます。

第一部第二部...と進むごとにマインの立場が変わり行動範囲が増え、世界の仕組みも明らかになっていきます。ここだけ見るとなんかエロゲっぽくないですか?

現在書籍化されているのは第五部の序盤までで、私は第三部までしか購入していなかったので第四部以降は小説家になろうで読みました。

私はなろうで読むことに慣れてなく、Kindleで読みたかったので書籍版購入していたのですが、第四部以降どうしようかと調べてみたらなろうをKindle化する方法簡単に見つかり、購入していたの少し後悔しました。でも別キャラ視点の描き下ろしや挿絵があるし書籍版買う余裕があれば書籍版推奨です。

漫画版はライン漫画で途中まで読めるので文字読むのしんどかったら序盤だけ漫画で補完するのもありかもしれません。

アニメは一期が第一部、二期が第二部中盤までで三期も決定していますがおそらく三期は第二部の最後まででしょうね。できれば全部やってほしいですが、あのアニメのペースだとおそらく十二期くらいまでやらないと最後まで行けない気がします。十二期まで放送ワンチャンある...?

感想

全ての言い分を詳らかにしなくてはならない

物語の流れは、なにか問題が起こる→問題となったキャラ達の文化や事情を明らかにする→その事情などからお互いの利点を探し出して擦り合わせて解決する、といった感じになっています。

物語が進むにつれ立場や舞台が変われども、基本的にはこの流れの繰り返しですね。

貴族にとって平民は生かしてやってるだけの存在に過ぎず平民の事情なんて知ったことではないし、王族からすれば他の貴族の事情よりも自分たちの事情を優先するのが当たり前です。

そもそもマインは異世界人なので、平民の文化や考え方はかろうじて理解できても、貴族や王族達の考え方には馴染めません。

「……アナスタージウス王子もエグランティーヌ様もエーレンフェストのことは何も考えていないのですね」
(中略)
自分が優先すべきことのために、わたしの気持ちやエーレンフェストの現状は切り捨てるとアナスタージウスは言う。今まで王族に協力してきたつもりなのに、わたしの気持ちは全く考慮してくれないことにひどく苦い気持ちになった。

引用元:「本好きの下剋上」祠巡りより

マインへの王命は、他の貴族なら嬉しいことだったかもしれませんが、「本を読みたい。大事な人と一緒にいたい。」ただそれだけが望みのマインにとってはデメリットでしかありませんでした。

相手のことを考えない取引は、取引やお願いでもなんでもなく、命令であって、対等な関係じゃありません。

こういうことが何回も続いたらさすがのマインもエグランティーヌ様とはもう友達とは思えないってなってしまっても仕方ないです。エグランティーヌ様は後に反省しますし世間知らずなだけだったのでマインの少し冷たい態度はちょっと可愛そうでもありますが。

これは別の記事でも書いた気がしますが、相手を理解しようとしなければ自分も理解されないし、自分のことを伝えようとしなければ相手も伝えてくれません。

お互い納得し対等な関係でいるためには、相手を理解しよう、自分のことを伝えよう、という姿勢が大切なわけですね。

 

ただ、長い時が経ち、なぜそういう文化なのか、なぜそういう決まりなのか、簡単にわからなくなることがあるかもしれません。

そういう時に本や印刷があれば、長期間保存できて広める事もできるし便利ですよね。

それに、多くの人が同じ知識、常識を持っていれば便利です。

物語の終盤は本あんまり関係なくなってましたけど本についてはそういう事が言いたかったと思います。たぶん...

神に祈りを!神に感謝を!

お互いに利がなければ、何もしてはいけないのだろうか。

虚弱体質に生まれたマインは、周囲の人々に助けてもらわないと何もできなかったので、誰かに頼るということを学んだ。

特異な出で立ちのフェルディナンドは、常に暗殺と隣合わせであり、誰にも気を許すことができなかった。

己の無力を感じた時にできるのは、祈ることである。

祈りとは願いであり希望である。

祈り、感謝すること。それこそ無力な我々ができる精一杯なことではないだろうか。

祈り、感謝することを覚えたマインは、自分勝手な行動を慎み、周囲のことを理解しようとし、大事にするようになった。

おばさんが「お酒の準備ができるまで」と言いながらフェルディナンド様にお茶を勧めると、マインが横から手を伸ばして一口くぴっと飲んだ。

マインが客用のお茶を取ったことにおばさんが目を丸くして「マイン」と咎める声を出したが、マインはそちらに視線を向けず、口の付いた部分を指で拭ってフェルディナンド様に見せた後、カップを置く。それからそっと丁寧な仕草でお茶を勧めた。

「はい、どうぞ。フェルディナンド様」

「……ここでは必要ない」

「そうですか?」

引用元:「本好きの下剋上」帰宅より

フェルディナンドはマインに触発され、他人に気を許すことができるようになった。

神に祈りを!神に感謝を!

この項についてはあまり深く考えていない私のメモ書きみたいなもので結構めちゃくちゃ言ってると思うので気にしないでください。

 

以下雑感。

本当に世界観がすばらしく、ずっとこの世界観に浸っていたかったです。

読んでて癒やされました。特に二部と三部。四部五部も面白かったですけどネットで言われる京都市民のようなやり取りが多かったので疲れることがしばしば。

簡単にお互いを理解できてしまうとつまらないのでああいう舞台設定は仕方ない感ありますけどね...

逆にマインの妹のシャルロッテと弟のメルヒオールは素直で良い子すぎて心が汚れている私はなにか裏があるんじゃないかと疑ってしまいました。素直にすこっていればもっと楽しめたと思います。

兄のヴィルフリートは素直すぎて貴族社会に向いてなかった感じがします。環境が悪かっただけで悪い子ではないのに読者にも嫌われてるみたいで可愛そう。ヴィルフリートとヒルデブラント王子は結果的にマインに振り回されて将来の選択肢が狭まった感じなので救いが欲しいですね。

異世界転生ものの大前提として、主人公が転生することで転生先の人々が幸せにならないといけないと私は考えています。その点本好きの下剋上では不幸になったのは悪人と先程あげた二人くらいでほとんどの人が幸せになったので良かったと思います。

終盤はちょっと少女漫画っぽくなってキュンキュンしてしまいました。今連載している続編...というかスピンオフもハンネローレ様主人公の乙女ゲーって感じで面白いので更新楽しみにしています。...いつになるのかわかりませんが。

そうそう、作中でお菓子を食べるシーンが多く、私も読んでて食べたくなって久しぶりにスイーツ作りをしました。

パンナコッタとプリンを作りました。とても美味しかったです。

 

他になろうで私好みの面白い作品があれば読みたいので教えてほしいです。

ティアムーン帝国物語とはめふらは読もうと思っているんですが完結してから読みたいのでまだ先になりそうです。完結したら読むと言いながら未だに手を付けていないNARUTOBLEACHから目をそらしながら。